キャンビーザライトでは、企業様のサービスを上流工程からお手伝いする事があります。その際に要件定義や、情報設計など様々な作業がありますが、それらをひっくるめて、まず根本的に考えたいと思うものが、そう。「UX(ユーザー体験)」という概念です。
…UX。実に幅を効かせた概念であります。おかげでどこからどこまでをUXと言っていいのか、googleに「UXとは」を何度打ち込んだかわかりません。
このコラムでは、UXで言うところの「ユーザーの思考」や「感情」などをもっと身近に考えたいという個人的な探究心から、比較的誰でも経験する「恋愛」をお題に、UX考察をするコーナーです。
尚、これらは実際のUX設計の「思考」の部分にあたり、ごくごく一部です。そういう考え方するんだなーくらいにお付き合いくださいませ。
CASE1:女の子らしくなりたい
14才 中学生 女
UX的視点で見る「女の子らしさ」の裏の顔
本質は「○○に自分を好きになってほしい」…ではない?
好きな人がいるのであれば、本来であれば、悩みは「○○と付き合いたい」とか「好きになってほしい」とかのはずですが、彼女の悩みは「女の子らしくなりたい」とあります。そこには様々な心の葛藤が見え隠れし、本質がどこにあるのか良くわからない状態にあるように思います。
「女の子らしく」というのは、このCASEだとクラスで抜群に可愛い女の子というのを指してるわけであって、明確な定義が存在していません。ひとまず仮にCASE内容から拾って、
背が高く、声も低い私は…
とあるので、逆の意味になる「背が低くて声が高い」が女の子らしいの定義とします。
…そして、思うのであります。
これは、○○君が好きになる女の子らしさなのか?と。
でもこれは良くある話で、何か問題があった場合に、「もしこうだったら…私にアレさえあれば…」と、タラレバにベクトルが大きく向いてしまうのは、人間の性なのかもしれません。
実際には、「女の子らしく」という相談内容だけでは見えない心の動きが存在していて、本質にたどり着くには、その糸口をひたすら辿っていく作業が必要です。
UX設計的に心の動きを考えてみる
では簡単に「女の子らしくなりたい」と思うまでの心の動きを探ってみましょう。
心の動き1
うーん。最後の思いが唐突な感じがしますよね。その結末にいくまでにもう少し心が動いているはずです。
心の動き2
…まぁこっちのがしっくりくるでしょうか。ちなみにこの過程は、カスタマージャーニーマップ作成時のユーザーの感情変化の考察部分になります。
ひとまず、上記から自分と違うタイプの人を好きと言われた事が発端で、自分も好きだと言われたい = 彼女と同じ特徴を持ちたい と思うようになったと仮定する事ができます。
そして、前述した通り、彼女と同じ特徴を備えたからと言って「女の子らしくなる」わけではないし、根本的な解決には至らない気がします。さらに言うと、そもそも「彼が女の子らしい子が好き」というのも、相談者の思い込みかもしれません。そういった部分も疑わしき問題点です。
ではこの感情の動きを元に、どういった事が根本的な解決策になりえるのでしょうか?
UX的視点による実体験に基づく仮説から解決策を導き出す
それはそれは遠い昔、私も同じ事で悩んでおりました。
…何を隠そう、この記事の元ネタは私の中学時代であり、声が低くて背が高い=男の子から敬遠される。当時はそう思っていました。
今も少なからず思っていますが、そんな事で悩む事はなくなりました。なぜならその悩みは元々存在しなかったからです。
…なんだか仏教のお説教みたいな話になりそうですが、そうではありません。自分の心のモヤツキの本質を理解した。という意味です。
今回のテーマは自分の昔話であるがゆえ、一つの解決策としてこんなものもある。というのを記載しておきます。
求めていたものは「女の子らしさ」ではなく「自分の存在を認めてもらうこと」
若かりし頃の竹下も、相談内容と同じく、悩んでいました。
当時の友人に、「女の子らしくなりたい」と弱音を吐いた時の事。しばらく日にちが経ってから、以下のような手紙をもらいました。
友人の手紙
いつだったか、めぐは「女の子らしくなりたい」って言ったよね?あの時、私「女の子らしい」ってなんだろう?ってずっと考えてたんだけど、うまく言えなかったから、手紙にするね。
○○ちゃん(かわいい女子)は確かに可愛いと思う。でも女の子らしいか?って言われたら、私はちょっとわからないなと思った。
でも、めぐはすごく悩んで「女の子らしくなりたい」って言った時、私はすごくそれが女の子らしいなって思ったの。見た目ばっかり仕草ばっかり女の子だからって、それにあぐらをかいている女の子なんて、素敵だとは思わない。
それよりも「もっと女の子らしくなりたい」って悩んで、色々考えてるめぐの方がずっと女の子だし、素敵だと思う。私はそういうめぐが大好きだよ。
今でも文章を思い出せるほど、この手紙の内容は私の心に深く響いたのでありました。
それは何故か?
「自分を[深く]認めてくれる人がそばにいるとわかった」からです。
「深く」というのが大事です。
よく恋愛の話になると、「わかるー」とか「えー絶対めぐのがかわいいよー」とかいう、ペラペラァっとした返答をされる事がありますが、これは仮説の実証要素には値しません。
手紙は以下のような要素で効果が爆上がりしたと考えます。
- 即日ではなく、日数をかけてまで自分の事を考えていてくれた事
- 全力で私の味方!というわけではなく、彼女の公平な目線だったので結果的に冷静になれた事
- シンプルでストレートに私を好きだと言ってくれた事
- 弱い所を見せた上で私の存在を認めてくれた事
この友人からの手紙は、当初、悩みの本質と思われていた「○○君に好かれたいから女の子らしくなりたい」という問題の直接の解決策ではないのにも関わらず、当時の私を癒し、自信を持たせてくれた上、最終的には彼に好きになってもらえるレベルにまで発展したのです。これには
- 自分を認められるようになり、本来の魅力が現れた → 魅力的に見えるようになり、好意を抱く人が増えた
- 悩みが一つスッキリした事で違うものにも興味が出てきた → 違う事にも目を向けられるようになりポジティブになれた。
といった相乗効果が大きく影響しています。根本となる悩みを改善し、相乗効果で結果的に問題が解決する事に成功したのです。
この解決策についてのまとめ
- 仮説:求めているものは「女の子らしさ」ではなく「自分の存在を認めてもらうこと」
- 解決策:自分を認める事。自信をもつ事。
- 手段:友人の心ある手紙
実際のUX設計に落とし込むなら?
UX設計はユーザーの本質的な体験価値を探る作業です。
本質を探るというのは、とても時間がかかるもので、解決策も一つとは限りません
ビジネスシーンでも、一人で考え込み、答えが迷走しがちになる事もあります。
そんな時に一緒に悩んでくれる仲間や、違う目線でアドバイスをくれる人などから、思わぬ糸口を探す事ができたりします。
本来UX設計の際は、こういった仮説や実証を何通りも探り、話し合いながら、本当の目標にたどり着ける、最適なルートを導きだします。
恋愛模様は十人十色。サービスのユーザー体験も、十人十色です。
というわけで、私たちキャンビーザライトは、細かいヒアリングを通して、サービスの本質を理解し、どのような体験をしてもらうべきなのか?を探るUX設計を承っています。
もし、サービス立ち上げで心配な部分や、困っている事がありましたら、お気軽に弊社にご相談ください!一緒に悩み、一緒にサービスを盛り上げていきましょう!
(恋愛相談は別料金です)