UXディレクターの高山です。さて世間ではバレンタインデーらしいですね。我が家からはそんな風習がなくなってるっぽいですが…。そのせいか最近の寒さがこたえます。みなさん風邪などひかれてませんか。
これまでのあなたの暮らしについて聞かせてください。
さて、正月に言えよって感じではありますが、個人的な新しい試みとして色んな人の生活史を集めたサイトを新しく作ります。
このサイトでは、まずは私が今まで出会った人にインタビューを行い、その方のポートレート写真と共に、その人の語りを掲載していきます。
SNSで華やかに発信している人ではなくても、誰もに暮らしてきた年月があります。日々重ねてきた体験や感情をもとにそれぞれの暮らしを象って記していきたいなと。
直接的なきっかけ
東京の生活史
みなさん、「東京の生活史」という本をご存知ですか。

社会学者の岸政彦さんが編纂した、公募で集まった(応募したかった…)東京で暮らす150人の聞き手が、それぞれ自分が話を聞きたい人にこれまでの暮らしについてお話を聞いたものをほぼそのまま?掲載した150人分のインタビュー集です。
とんでもないボリュームのいわゆる鈍器本で、正直読み切るのには中々骨が折れるのですが、めちゃくちゃおもしろいです。ちなみに「大阪の生活史」と「沖縄の生活史」もあります。
聞き手も話し手も記載されてるのは名前ぐらいで(名前さえない場合も!)付加情報が全くありません。
ただ、話し手が滔々と語る体験や時代背景、さらには言葉の使い方なんかが様々な時代と場所にあった東京の暮らしをクリアに浮かび上がらせてくれます。
これを読んだところ、「なんで俺は募集中にこの情報をキャッチできなかったんだ」という後悔をひとしきりしてから、どうしても自分でもやりたくなってしまいまして。カッコいい音楽と出会って、バンドやりたくなった感じに近いかもしれません。
日々の業務からも
また、これまで、仕事であるユーザー調査でテーマがありきのインタビューなども多くやってきましたが、テーマからこぼれる話し手のみなさんそれぞれの暮らしが垣間見える瞬間が多々ありました。そして自分がより面白さを感じたのはその瞬間でした。
このプロジェクトでは仕事のインタビューではないので、垣間見る程度ではなくじっくりと暮らしに関するお話を伺って、丁寧に残していきたいと考えています。
そうすることでこのやりたい気持ちという点だけで始めるこの試みにも何らかの線や輪郭、側面が生まれていくことを期待しています。
自分が感銘を受けた本のような体験をこのサイトで生み出せれば、もう最高です。
なんでポートレートも?
あと、実は参考にしたい本がまだいくつかあります。もともと好きな本なのですが、「在日一世」、「17歳」という写真集です。
在日一世

「在日一世」は書名そのまま、カメラマンの李朋彦さんが日本全国の在日一世にインタビューした内容と撮影したポートレートで構成した写真集です。みなさんの語りはもちろんなんですが、写真でうかがえる眼差しが訴える経験と年月の重みに衝撃を受けました。
17歳

「17歳」は1987年バブル期真っ只中に写真家の橋口譲二さんが日本各地を周り撮影した17歳のポートレートにその子たちのインタビューと簡単なアンケートを添えた写真集で、こちらはその10年後にもう一度同じ人物を追った「17歳の軌跡」という続編もあります。
続編はインタビューの文章量がかなり増えているので、今回やりたいことに更に近いかもしれません。
もし興味が湧いたらぜひ手にとってみてください。
最後にお願い
というわけで、お話を聴かせてくださいとお願いすることもあるかと思います。ご希望があれば、お名前や肩書、なんならポートレートにしても伏せたい情報は全て伏せますので、何卒ご協力の程をお願い致します。
また、インタビューしてくるから載せてくれ!みたいなお申し出も大歓迎です。
まずは10人分集まったらサイトを公開して、随時更新していく形で進めていきたいです。
やっぱノンフィクションとか、架空のものであっても小説や映画とか、人の話や群像劇なんかが好きなんですよね。仕事の中でもユーザー調査が一番楽しい。自分のことを人嫌いだと思ってたんですが、そうでもないのかもしれません。
なんか久々にワクワクしてます。年齢とか関係なく、私が人と会う限りは一生続けられそうな気がして。