【1分では分からない】LINEが世界で負け続ける本当の理由、がモヤる3つの理由

iPhone

こんばんは。CBLディレクターの高山です。

昨日ぐらいまでバズってたLINEのUIに関する記事を読んでモヤモヤしたので書き殴りました。

【1分で分かる】LINEが世界で負け続ける本当の理由
http://www.ogura.blog/entry/2017/02/28/190245

なにがモヤモヤしたかと言うと、

  • 1.UI/UX論の部分、ユーザー設定とサービスコンセプトという前提条件への理解が違うのでは
  • 2.ロジカルに話がつながってないところが散見される
  • 3.世界で負ける理由というテーマなのに言及対象がなぜiPhoneアプリかつ日本ローカルのみなのか


では早速上記3点について。間違いなく1分では終わりませんがお付き合いいただければ幸いです。

1.UI/UX論の部分、ユーザー設定とサービスコンセプトという前提条件への理解が違うのでは

◆前提としているユーザー層の違いと論拠の乏しさ

筆者のオグラさんはタイムラインや連絡先などは使われていない、ニュースなども必要がないコンテンツである旨を書かれています。ところが媒体資料を見れば書いてありますが、実際は使われてるとデータとして出てます。もちろん媒体資料なので恣意的になっている部分があるであろうことは否めませんが、実際中学生である私の娘やその周りも使ってます。

ただ、私含め年齢層がある程度上の層、要は若者以外で使ってるところはあまり見たことがないのは確か。恐らく筆者のオグラさんも若者ではないでしょうし、はてブでブックマークしてる人たちも、はてなの媒体資料見る限りでは似たようなもんでしょう。

はてなメディアガイド 2017年1-3月版 https://drive.google.com/file/d/0B8HbYV-8a2xlQWZYUURISDVwTEU/view
mediaguide_LINE_2017_04_09.pdf http://ad-center.line.me/ 注)このリンク先からダウンロードできます

  • ・はてなの19歳以下のユーザーは4%、29歳以下まで拡げても33%。30歳〜49歳までが61%を占める。
  • ・LINEは同じ分布で言うと、19歳以下が11.5%、29歳以下まで拡げても34.3%。30歳〜49歳までが41.5%。
  • ・性別に関してははてなユーザーの75%が男性、LINEは47.4%が男性。

はてなもLINEも幅広い年齢層のユーザーが利用しているが、

はてなの方がより「おっさんがボリュームゾーン」な媒体であると言えると思います。

逆にLINEはマスでは届きにくく若年層にリーチできる広告を売りにしてることから、意識が若年層に向いていることもわかります。

恐らく私と同じくおっさんであろう筆者の印象に、同じくおっさんである人達が同調するのはわかります。とは言え、依拠するデータもないまま、自分たちが使わない・使いづらいという印象の話を、全てのユーザーが使わないという話、更にそんなことだから世界で勝てないと拡大解釈していくのは展開としてちょっと厳しい印象です。※私が拡大解釈してたらすみません。


ここで伝えたいこと

  • ・筆者が論拠とするデータがない
  • ・おっさんはLINEのコアユーザーではない
  • ・LINEはデータ出してる

◆インフラだから全ての人が使いやすいものを

けど、インフラってLINE自身が言ってんじゃん。というのもわかります。インフラなのであれば、みんなが使いやすいものじゃなきゃダメでしょ!というのも正論です。

もちろん正論なんですが、すべての人にすべての面で使いやすいWEBサービスって、そうそうないと思います。だからこそ、ユーザー層を設定してカスタマージャーニーとかユーザー調査とかみんながやってるんじゃないですか。

例えば、絶賛閉鎖中のMERYはUI作るためにしっかり調査して考えたっていう、以前バズった記事を見て、「あー、爪の長さがおっさん達とは違うから、そういう設計だったのかー」って膝打ってた人、結構居たはずです。これを生んだのは適切なユーザー設定です。

 女子の心をつかむUIデザインポイント – MERY編 - https://www.slideshare.net/ShokoTanaka1/ui-mery

ターゲットはスマホユーザー全員、なんてターゲティングが機能したなんて話は少なくとも私は聞いたことがないです。

もし筆者の言うように全員に均等に、というようなサービスであれば誰にも刺さることはないでしょう。

逆に言えば、例えば筆者が提示した施策を打つことで、今までのヘビーユーザーである若年層を取りこぼすことも往々にしてあり得ます。

また、実際、筆者が競合と定義したアプリもそもそもターゲットはスマホユーザー全員なのか(だったのか)。

ネットワーク外部性が働いて、多くの人が使ってるって結果論だけじゃないのかという思いが拭いきれません。

もちろんおじさん、おばさん、おじいさん、おばあさんのユーザーが1000万単位でいる。その状態で彼らはターゲットを絞ったのだ。信じがたい判断である。

タブ名については入れた方がお年寄りやニューカマーに親切なのでは、とは私も思いますが、別に「そこを切り捨てた!信じられない!」とまで言うほどの施策でもないではないかと思うのですが…。

おじさん、おばさん達の中でも「それぐらいわかるわよ、失礼しちゃうわね」的な方もいらっしゃるかと。

ニュースタブの追加の話であれば、「俺達は捨てられた!」って思うほど、その辺のユーザーはニュース見ないんでしょうか(笑

もし筆者が、タブ名の話だけでなく全体の話として、上記引用箇所を書かれているのであれば、あそこまで大きくなったサービスで更にユーザーを増やしていくためには、場所を変える(世界進出)かユーザー層を設定して、特定のユーザーに刺さるものを提供して少しづつ増やすしかないと思うんですが、いかがでしょうか。

あと連絡のためのインフラとしての担保をLINEが出来てないのか、というと出来てると思うんですよ。

なぜなら連絡は取れて、普通に繋がるし、トークも使いやすい。筆者が書いていた指摘内容では、LINEがインフラとしての矜持を捨てているとは思えません。

なので、これは中の人に聞いてみないとわかりませんが、LINEはもちろん世界中の人に使ってもらいたいという理念はありつつも(大体のサービスはそう思ってるはず)、UIの設計なりコンテンツの追加なり、すべての施策で想定ユーザーを設定しているのではないでしょうか。


ここで伝えたいこと

  • ・あっちを立てればこっちが立たずになるから、全方位のターゲティングはありえない
  • ・LINEは上記のコアユーザーを見据えつつ、サブユーザーも視野に入れた最大公約数的な施策を打っている。
  • ・インフラとしての自覚と使命は捨ててない(気がする)

◆LINEが追うべき数字はアプリからの送受信の回数、は正しいか

まず、LINEがニュースタブの追加によってユーザーの滞在時間を伸ばしたかったんだろうというのは私も同意です。

ただ、そこで延ばすべきは滞在時間ではなく送受信の数だ、というのは疑問符がつきます。

この部分の論拠としては、競合の時間を奪えないということがありますが、そもそもそこの競合設定が違うんじゃないか、と思いました。

LINEがサービス開始時のままのシンプルなメッセンジャーサービスであれば、あの記事に書かれているサービスのコミュニケーション部分が直接的な競合となり、そことの時間の奪い合いが必要となりますが、それにしたところで実際に一番大事なのはネットワーク外部性です。

みんなが使ってるのでみんなとメッセしやすい。だから使うということになります。日本におけるWeChatやWhatsAppはそこが全く無いので、世界的に使われているアプリと言えども日本ではシェアを取れていません。

更に言うと前述の通りLINEは既にメッセンジャーだけではなく複合のサービス/コンテンツの集合体です。

その点で言えば、WeChatやFacebook本体はサービス全体としても競合になりますし、

WeChatが色んな機能を追加してユーザー数を伸ばした点はLINEも無視できるものではないでしょう。

つまり筆者が論拠としてる「LINEはメッセンジャーサービス(コミュニケーションサービス)」という定義はもちろんLINEの肝ではあるものの、

FacebookやWeChatと同じく、それが全てというわけではないのです。

そうなると日本においてメッセンジャーサービスとしてシェアを取ったLINEが

多コンテンツ化して滞在時間と利用頻度を伸ばしにきてるのは正しい方針で、

送受信の数を増やすという施策を打つとしてもそれは滞在時間を延ばすためのものになるはずです。


ここで伝えたいこと

  • ・LINEは最早メッセンジャーサービスの域を超えている
  • ・競合も同じく
  • ・なので滞在時間・利用頻度を伸ばすのは正しい

2.ロジカルに話がつながってないところが散見される

◆「昔からそうしてる」ってIT企業が言い出したらオワコン

 

これ大まかな論調としては、他のすげーとこはみんなやってんだからそれに倣おうぜ、なんでやんないの?だと思うんですが、

「みんなそうしてる」っていうのも中々の思考停止じゃないのかと思うんです。

さらにここを変えないのは思考停止で、変えた他のメニューは自分が思ってる変化じゃないからダメ、

って矛盾してないですか。良かれ悪しかれ、思考してるからこその変更なんじゃないか、というのがまずモヤりました。メニューバーに限った指摘でしたらすみません…

◆データ分析を軽視してるという話

そもそもここの論拠が、タブ名の削除だけって薄すぎると思います。根拠なくLINEがデータ分析を軽視してるというのは暴論に近いし、軽視してると言ってる人がデータを何も出してないのはどうなんでしょう。

媒体資料を見る限りでは、LINEは例えば前述のタイムラインとニュースのユーザー利用データもちゃんと(アンケートとは言え)取っているので、

  • 1.ボリュームゾーンなり、ヘビーユーザーなりが使ってる
  • 2.結果、トータルの利用時間も長く利用頻度も高いコンテンツであると定義
  • 3.使いやすいようにメニューバーに出した

という形で今回のメニューバーの変更を進めたと考えるほうが自然かと思うんです。社内政治が、とか上層部事情を想像で書くよりは。(実は中の人に事情聞いてたりしたらすみません)


ここで伝えたいこと

  • ・「昔からそうしてる」も「みんながしてるからそうする」も同レベルの思考停止
  • ・人の振り見て我が振り直そう

◆左端最重要説

個人的にはここが本丸です。

メニューバーの左端が最重要で各アプリもそう考えているという前提になってて、またLINEの連絡先なんか要らないって仰ってますが、果たしてそうでしょうか。

 

まず、もし左端が最重要な場所だとするのであれば、私は連絡先を置くのは間違っていないと思っています。なぜなら震災時も想定したインフラの役割を果たす際に、連絡先というのは確実に必要かつ見つけやすい場所に置くべきコンテンツだからです。普段頻繁に連絡取ってない人とも連絡取りますよね?そう考えるとLINEが公言している思想とは合致します。

ただ、そもそも左端が最重要というのは若干従来のテキスト中心のWEB的な考え方と片手でスマホを使うおっさん目線が抜けてない気がします。左端が最重要なのは、文章を読む時に左端を一番最初に見るからだということだと思うのですが、メニューに必要なのはその点ではなくて、どこに何があるかを認識しやすく、かつ押しやすいかどうかだと思います。アプリを使う度にメニューバーを左から順に都度認識していくことはあまりないですよね。各サービスも、どこに何があるかを覚えやすくするためにメニュー数を絞ってるはず。

※そういう意味では「足したら引け」には寝下座レベルでフル同意するのですが、5つまでならUXを阻害しないとLINEは判断したのかなーと思ってます。

また最近の若年層は私たちおっさんよりも動画への抵抗が少ないです。またスマホゲームにも親和性が高いことから、左から右という従来のWEB的な視線の動きではなく画面全体で認識することに長けてるのでは、という仮説も立てられます。

これは揚げ足取りレベルかもですが、全ての人をターゲットにするのであれば、左利きは気にしなくていいの?ってなりませんか。スマホの大画面化がデフォルトになってる現状で全ての人が使いやすくてどんな持ち方でも押しやすいのは普通に考えれば真ん中付近じゃないですか?スマホ自体のフィジカルなボタンも真ん中にあることが多く、その上付近にメインコンテンツ置くほうが自然って思うのは私だけでしょうか。

また、例に上げてる各アプリ。これホントに全部左端が一番大事なコンテンツなんでしょうか。Facebookメッセンジャーの真ん中のボタン、押させたくてしょうがないように見えますけど…。

そう考えると、各アプリがデフォルト表示ではタイムラインやメッセージ履歴を表示してる以上、メニューとして大事なのは次の行動への導線、更にメインコンテンツに戻るための導線だと考えられます。押しやすい真ん中近辺に各アプリは次の行動の導線を置いているのではないでしょうか。つまり真ん中にタイムライン、その左右にトークを置いているLINEのUIはあながち間違っているものではないと言えます。


ここで伝えたいこと

  • ・アプリのUIとして考えると左端が一等地というのは議論の余地あり
  • ・LINEのメインコンテンツの置き場所は別に間違ってない

その他のちょいちょいツッコミどころor同意箇所

  • ・Facebookメッセンジャーに連絡先ないって書いてあるけど、右端に友達っていう同じ機能が思いっきりある…
  • ・LINE以外はアイコンの下にテキストは入れてるって書いてあるけど、AndroidのFBメッセンジャーには入ってない。A/Bテストしてたらゴメン。
  • ・AndroidのWhatsAppのメニューの左端はカメラ
  • ・ただの参考情報ですが、連絡先の楽しみ方として、友達のステータスメッセージを見に行ったりすることもあるらしい(ソースは中学生の娘)

3.世界で負ける理由というテーマなのに言及対象がなぜiPhoneアプリかつ日本ローカルのみなのか

まず上記にもいくつか書いたとおり、アプリの話でかつUIの話なのにAndroid視点がすっぽり抜けているのが気になります。世界市場のシェアでは、Androidが約72%というシェアを占めているにも関わらずです。

また、ニュースタブを入れたことも含めて、そのUXへの理解と努力のなさが世界で負ける要因という論調でしたが、そもそも他の国でもLINEニュースってやれてるんですかね。各国のニュースサイトからニュース買って配信できてるとは思えないんですよね(配信してたらすみません)。となると、実際ダウンロードして調べられた訳ではないですが、提供するコンテンツに相違がある以上、各国である程度のローカライズは行われていると考えるのが自然です。

ところが、この筆者が書かれているところのUIというのは日本国内だけで、各国向けのローカライズに関しては言及されていません。日本国内のみ、しかもiOSについての言及のみでなぜ世界で負ける理由を断定されているのかは、論拠に乏しいと言わざるを得ません。

世界で負けてる理由を私が考えるとすれば、LINEの社内事情やUIイケてないって話ではなく、

  • 1.進出する国へのローカライズ対応が不十分
  • 2.乗り換えを検討するほどのネットワーク外部性を獲得するためのマーケティング活動が不十分
  • 3.これらを推進する人材(現地含む)を獲得できてない ※ここは筆者の主張とも被りますね

という、細かいUIというよりは、もう少し大きい視点での話の方が大きいのかと考えます。それこそ推察だけで根拠ないけど(笑


ここで伝えたいこと

  • ・Android視点の話とローカライズについても言及して欲しい
  • ・誰かLINEのローカライズ状況をご存知でしたら教えてください

結局何が言いたいの

ユーザー層とサービスコンセプトの設定に齟齬があり、データがない状態だと、適切な施策立案は難しいもんだな、と。UI/UXの話(というかそれ以外のトピックでもですが)をする際には、自分の思い込みバイアスを外すためにも、下記を鑑みることが大事だと改めて思いました。

  • ・ユーザー層の適切な設定
  • ・サービス/コンテンツのコンセプトへの正確な理解
  • ・論拠となるデータの取得
  • ・その上で施策のアイデアを広げる

この記事は、ただご自身のブログで思いを書き綴った、一面識もないオグラさんを批判したい意図はありません。どちらかと言うと、手放しで賞賛してた人たちの方に、この辺どうなの?と聞いてみたいとこがあったので、長々と書かせていただきました。

できれば、その辺を鑑みた上でのオグラさんの考察を別途読ませていただきたいなと考えています。

とは言え、散々つらつらと書いといてなんですが、読んでいただければわかるように、私もちょっとデータを見たり、人に話を聞いたとは言え、LINEの考え方に関しては完全に憶測です。誰か中の人に知り合いがいらっしゃったら、この話どうなの?と答え合わせをしていただけると嬉しいです。

ここまで読んでいただいた皆さん、ありがとうございました。

ご意見、ご批判、ご感想など、是非お寄せください。

TAKAYAMA

WRITER: YOICHI TAKAYAMA

CEO/DIRECTOR

真面目が取り柄のディレクターです。 好きな言葉は「おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。」です。

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